奈良県桜井市にて、穴空きの鋼板ホーロー浴槽修理塗装をしました。

先々週は東の静岡県浜松市へ、
先週は三重県津市へ、そして今週は西の奈良県桜井市への出張施工です。
久しぶりに出張の月となりました。

今回は40年以上経った戸建住宅のホーロー浴槽です。
定番の釉薬欠如、ツヤびけ、変色、ピンホ−ル、そして10箇所以上のサビ発生。
これでもかと言わんばかりの鋼板ホーロー浴槽の傷みが全て出ていました。
通常では再生塗装はお断りする案件です。

Before

サビは随分前から発生していたようですが、
貫通はしていなかったのでダマシダマシ使用されていたようです。
お電話を頂いた前日の夜に一箇所貫通し、
お湯が張れなくなり慌てて修理業者を探されたようです。

在来工法の浴室に設置されている鋼板ホーロー浴槽は、
30年から40年ほど使用していると、先ず喫水線から下が変色してきます。
これは水の破壊力などで、表面を覆っている釉薬が剥がれたために起こる現象です。
釉薬が剥がれた箇所はホーロー自体が弱くなり、
ザラつきが出てきたり、ピンホールが出てきたりします。
また、壁面のシーリング材が切れてしまい、知らず知らずのうちに水が浴槽裏面に周り、
サビを促進していくことになります。
このサビが裏側から進行して表面に現れると、ほぼ貫通してしまいます。
少しでもサビが出てきたらできる限り早く対処する必要がありますが、
この辺の見極めと判断が難しいのも現実です。

取り急ぎ施工日まで、応急処置としてアルミテープで塞いで使用していただきました。

HPやブログに記載させていただいておりますが、
ホーロー浴槽のサビによる貫通は、どれだけ小さいものでも100%保証対象外物件となります。
今回の施主様にもその旨をお話させていただき、
浴槽入れ替えや、ユニット浴室への変更などをお勧めさせていただきましたが、
いろいろと考えられた挙句、どうしても塗装での再生を、とおっしゃられました。
また、ハートランドとつぼは愛知県にございます。
出張費用は申し受けることになりますが、
地元の奈良県や近畿地方、または関西方面で業者を探されなくてもよろしいでしょうか、とお話するも、
『ネットで調べても「ここか!」と、思える所がなかった』
『おたくのブログを見ていたら、信頼できそうなので是非頼めないか。』
と強く何度も、お願いできないかとおっしゃっていただき、
いろいろお話しくださった諸事情も考え、最後はご主人の熱意に負けて、
これは受けるしかないと思い今回施工させていただくことになりました。
過去にも同様のホーロー浴槽の事例で、
兵庫県西宮市や宮城県仙台市などへ出張施工に行きました。
何はともあれ、この16年の間、浴室・浴槽修理塗装の仕事一筋でやってきた私にとって、
日々の施工例を挙げているブログを読んでいただき、
私の仕事に対する熱意、仕事ぶりを感じ取っていただき信頼していただいたということは、
大変嬉しく、感謝、感謝の気持ちでおります。

今回、貫通したのが排水口左上のサビです。
裏からサビてくると、ピンポイントでサビる貰いサビの様ではなく、
モワッとした、このようなサビの症状になります。

ホーロー浴槽塗装時に絶対的に必要なエッチング処理後です。

最終的にサビて貫通した箇所は大小合わせて8箇所となりました。
黒く見える箇所は全て穴が空いています。
写真で見た時に、これぐらいは空くだろうと思っていたので、
想定通りという結果です。

追い炊き口周りは特に悲惨な状況。
サビて盛り上がった部分を削り落とすと簡単に穴が空きました。
穴からは外の景色が確認できるほどです。

このような状態になってから、現場でどうしてよいかわからず立ちいかなくなった業者から、
電話で相談を受けたことが幾度かあります。手を付けた以上直すしかありません。
本来ならば入れ替えをお勧めするべき状況を把握せず受けたことがまず間違いです。
施工中何度も電話をつなげ、その都度状況を確認し次の作業を指示し、
何とか施工を終えるわけですが、現場ごとに症状、工法も違ってくる、ということを再認識し、
技術、経験を積むしかありません。

ホーロー浴槽の穴の修理補修方法はトップシークレット。
樹脂浴槽の割れ補修や、穴塞ぎとは訳が違います。
知識・技術、そして経験が絶対的に必要な超特殊再生工法です。

After

奥様ご希望のスカイブルーで再生塗装となりました。
綺麗になり蘇りました。

見た目には、当たり前ですがどこに穴が空いていたのかは確認不可能。
ご主人に穴が空いていた箇所を確認していただきましたが、
不陸もなく全く分からないとおっしゃっていました。
直すと決めた以上はこの仕上がりは必須。
テッカテカのピカピカ、ツルツルです。

サービスでヒートン(排水口のゴム栓を吊り下げる金具)は、
新品に交換しました。

最後に「新品みたいになった、ほんまにええ仕事してもらって感謝しております。」と、
ありがたいお言葉をいただきました。
こんなお言葉をいただくと本当に嬉しいですね。職人冥利に尽きます。

今まで何度も、このような、2年間お付けしている保証がつけられない
鋼板ホーロー浴槽の穴空きを直してきましたが、
優秀?な事にほとんどが保証対象外の要因の、直した箇所からのサビ・膨れの再発はありません。
使用する材料や工法を間違えなければ問題が起きない場合がありますが、
裏側からサビてきているサビを100%止めること、は不可能です。
そのような状態で施工することは私の信念としてはできず、
基本的には塗装での施工をお断りしている次第です。
その状況をご理解いただき、通常2年間お付けしている保証がつけられないこともご理解していただいた上で、
今回のようにどうしても塗装で再生をする場合には、可能な限り対処いたします。

カテゴリー: FRPライニング (クラック・割れ・穴補修), サビ補修, ホーロー浴槽塗装, 割れ・クラック, 浴槽入換, 溜湯, 研磨・磨き, 補修   タグ: , , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

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