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お問い合わせの多いホーロー浴槽のサビについて

錆びたホーロー浴槽を修理することはできるのか?

最近お問い合わせをいただくことの多い、ホーロー浴槽のサビについて、
少し長くなりますが、サビの発生具合、
症状の進行度合いに違いのある実例写真を挙げ、お話ししたいと思います。

まず、浴槽(水回り)に使用されるホーローには、
鋼板ホーローと鋳物ホーローの2種類があります。いずれも素地は鉄です。

ホーロー浴槽はなぜサビるのか。原因は?

サビ発生に至る主な経緯は、次の2つです。
1つは、浴槽表面を覆っている釉薬(ガラス)が剥がれ墜ちることにより浴槽表面からの劣化が早まり、サビ発生に至る場合。
ちなみに、釉薬が剥がれる一番の原因は、溜め湯です。
水の持つ溶解力・破壊力そして浸透力は意外にも大きいもので、
長年溜め湯を繰り返すことは、経年劣化以上に釉薬の剥がれを助長します。

もう1つは、浴槽周りのシーリング材が切れ(剥がれ)、
浴槽裏側に水が周ってしまうことにより、サビ発生に至る場合。
ホーロー浴槽は殆どの場合、在来工法の浴槽として設置されています。
この浴槽裏側に水が周ってしまう事は、ホーロー浴槽にとっては致命的となります。

サビたホーロー浴槽は修理することができるのか?

1 浴槽の表面のみがサビている場合・・・修理補修が可能です。
2 浴槽の裏から水が周ったことが原因で浴槽表面がサビている場合・・・
そのサビが進行したために穴が空いてしまった場合・・・
私は修理不可能と位置付けています。
厳密に言えば、FRP浴槽・人造大理石浴槽などの樹脂浴槽の割れや穴の修理補修同様に、
見た目にも修理箇所が全く分からないように直すことは可能です。
しかし、浴槽の裏から水が周った場合には、
浴槽の表面から直してもサビの侵蝕を長期間止める事は不可能で、
サビ再発の可能性がかなり高くなります。
そのような状態では、完全に直したことにならず、
また、施工後の保証期間をお付けすることもできないため、
修理不可能と位置づけ、基本的にはお受けしておりません。
しかしながら今までに、そういった状況をお話しし、
何度かお断りさせていただいた後に、それでも修理をとの強いご要望をいただき、
こちらから提示させていただいた内容を全てご納得いただいた上で、
実際に補修修理施工に至った例が、過去に10件ほどあります。

上記2の場合の施工例
鋼板ホーロー浴槽 於 愛知県名古屋市
鋼板ホーロー浴槽 於 奈良県桜井市
鋳物ホーロー浴槽 於 岐阜県美濃加茂市

サビたホーロー浴槽を修理補修する場合の注意点

サビが発生しているホーロー浴槽の修理再生をする場合、
サビの除去からサビ止め転換処理、
穴が空いている場合にはまた別の一工程など、
通常の浴槽塗装とはまた異なる知識、技術、経験が必要となります。
サビの状況の見極め、臨機応変に対応することが非常に重要です。

腐食し穴が空いてしまった浴槽をエポキシ系のパテのみで処理をし、
再生塗装完了、としている浴槽を数度見かけましたが、
どんなに良いエポキシ系のパテを使用しても、それだけでは完全に直したことにはなりません。

浴槽塗装業界では、
手探り状態で知識・技術・経験も不十分なまま施工をし、クレームになる、
結局施主に迷惑をかけることになる、という話を残念ながら耳にしますが、
特にこのホーロー浴槽のサビ修理に関しては、ある程度経験のある業者であっても、
見極め不足、
知識不足ゆえ安易に引き受けてしまい施工中にトラブルが起こり立ち行かなくなる、
ということがあります。
ホーロー浴槽のサビは要注意なのです。

鋼板ホーロー

鋼板ホーローとは鉄板にガラス質の釉薬(上薬)を塗り、
高温で焼き付けたものです。
釉薬に顔料を加えることで色々なカラーを作り出すことができます。

下記の写真は、30年以上溜め湯を繰り返してきた鋼板ホーロー浴槽です。
見事にサビてしまっています。
ここまでキレイ?にサビてしまった浴槽はあまり見かけませんね。
見た目には穴が開いて貫通している箇所はありませんが、
一部の鉄板はガサガサで完全に腐っていて、
叩いてみるとボロボロと崩れてしまうような状態、
これは簡単に穴が空く状態です。
このような状態での再生塗装はナンセンスなので、入れ替えをお勧めします。

鋳物ホーロー

鋳物ホーローとは、鋳型に1000℃以上で溶かした鉄を流し込み、
出来た鋳物の表面にパウダー状の釉薬(上薬)をふりかけ、
高温で焼き付けてできたものです。
鋳物ホーロー浴槽は、分厚い鋳物でできているため、
高強度・高耐久性を保つ特徴があります。
また、肌触りも良く熱伝導率が高いため、
体全体を暖かく包むように温めてくれる最高級の浴槽と言われています。
しかしながらそのような浴槽でも、長年の溜め湯や設置場所(紫外線が直接当たる等)により、
時には劣化を早めることもあります。

この浴槽も、溜め湯で喫水線から下の釉薬が無くなってしまい、
ガサガサのザラザラ状態です。
無数のピンホールと細かいサビもあちこちに発生、
しかし浴槽表面のみが傷んでいる状態なので、修理再生塗装が可能です。

ホーロー浴槽特有の線を描いたようなクラックが発生しています。
一部にはサビも発生しています。
このような症状は大した事のないように見えますが、
甘く見ると失敗する結構厄介な症状です。

壁面のサビている箇所は少量ですが、既にホーローがボロボロ状態。
叩くとカスカスで、一部は間違いなく穴が空きます。

この浴槽の入隅部分に出来たサビも、穴が空く状態です。

バスキャップ周りは、マイナスドライバーを突き刺すと一瞬で穴が空きます。
グサグサに腐っています。

排水口周りのサビ、叩くとカスカスです。

直焚き浴槽です。
時々、錆びてしまったが直せないかと、お問い合わせをいただきます。
下部に炉を作り薪などを燃料とし直接お湯を温める現代の五右衛門風呂ですね。
頑丈で保温性の高い鋳物ホーロー浴槽も長年の使用でこのようにサビます。
表面のサビを完全に除去でき、
直焚き浴槽として使用しないのであれば、塗装で再生可能です。

今では殆ど見ることが無くなった、
ユニット浴室に、据え置きの鋼板ホーロー浴槽が設置されているタイプです。
壁面と浴槽の隙間にシーリング材が打ち込まれていないため、
浴槽裏側はいつもベタベタで湿気を帯びている状態です。
ステンレス浴槽ならともかく、鋼板ホーロー浴槽では持ちません!
サビても仕方ないですね。
据え置きタイプなので、入れ替えをお勧めします。

穴が空いてしまい、ガムテープを貼って使用されていたとのことです。
このような応急処置には、アルミテープの使用がお勧めです。

樹脂浴槽(FRP浴槽・人造大理石浴槽など)の割れや穴補修はこちらへ

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