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ホーロー浴槽塗装で、関東方面に久しぶりの出張施工です。

現場は神奈川県藤沢市。神奈川県には今回で4度目の訪問となりますが、
そのうち3度が藤沢市です。何か縁がありそうな気がします。
藤沢市までは片道300キロ超。
大した距離ではないと思われますが、軟弱者の私にとってはとてもこたえます。
そんな道中、こんなに綺麗な富士山が!
癒されますね。大自然に感謝、です。

ホーロー浴槽サビ補修修理

現場は築35年越えの戸建住宅の鋳物琺瑯(ホーロー)浴槽です。
ご主人が言われました。
実は10年ほど前からサビが発生していて、その時からおたくに頼む予定だったんだ!」と。
私 → その時に頼んで下さいよ(笑)!と。

当初メールで見積り依頼を頂いた時、
神奈川県藤沢市、と遠方なため、どうしても経費がかかってしまうこと、
その点では近隣の業者に依頼されるという選択肢もあると思いますが
よろしかったでしょうか、というお話もさせていただきましたが、
「いろいろ探したが、どうしても納得できる業者が見つからんかった。
きちんとした業者がいない。自分は土木関係に長いこと携わっていたので、
HPやブログとかを見ていたら、おたくしかおらんと思った。
誇りを持ってやっていると思う、金額の問題ではない、是非施工して欲しい!」と
大変ありがたいお言葉をいただきました。
HPやブログを通じて私の仕事ぶりが伝わり、このように感じていただけたことは、
本当に嬉しいことです。

昨年の12月にも、同様の理由で奈良県桜井市に出張施工に行きました。
このような遠方出張では、ホーロー浴槽でサビ発生物件、が殆どです。
ホーロー浴槽のサビ補修は、浴室浴槽の再生塗装の中でも、大変やっかいな案件で、
通常の再生塗装とはまた別の、特殊な技術、知識、これに基づく経験が必要となります。
そのような特殊性を認識せず、経験がない状態で手を出してしまうと、
無用なトラブルを生んでしまいます。

ホーロー浴槽再生塗装失敗事例

下記の写真は、実際の失敗事例の現場写真です。

関東地方で浴槽塗装を行っている業者が受けた鋳物ホーロー浴槽です。
数カ所のサビと鋳物ホーロー浴槽特有のヒビ割れが生じています。
浴槽塗装の第一歩は、症状を見て正しく判断することです。
その上で、最適な施工方法を決めることになります。
「最適な施工方法」は現場ごと違うもので、
例えば一言で「サビ発生」と言っても、もちろん材質により、
サビの発生具合、周りの劣化状況などにより、変わってきます。
また、施工時の気温、湿度などの環境にも左右されます。

そしてもう一つ重要なことは、
この案件を受けるにあたり施工中に起こりうるであろうトラブルを理解し、
施主に前もってきちんと伝えること。
こうなっているので、こういうことになる場合があります、だとか、
こうなった場合には保証対象外になってしまいます、など、
曖昧な表現ではなくハッキリと具体的に。
そして、もし自信がないならばご依頼を受けずにお断りすること、も時に必要だということです。

この正しい判断には、経験を積むことしかありえません。
この事例では、現場の状態を見て、大した傷みではないと判断し、請け負った結果、
大変なトラブルとなってしまいました。

この現場の施工責任者とは数年前からの知り合いで、
私の現場にも幾度かOJT(現場研修)に来ました。
毎回、現場からどのように直したらいいですか?と電話をもらいますが、
いつも言葉でできる最大限のアドバイスをします。
写真上でしか判断できないこと、技術は言葉では伝えられないことなど、
もどかしくはありますが。

この浴槽に関しては、最終的にサビ処理ができないまま終了してしまったと聞き、
大変残念な思いです。
ホーロー浴槽特有の下地処理、エッチング、サビ除去、パテ打ち etc.。しかし、
ホーロー浴槽のサビ補修はなかなかセオリーどおりにはいかないものです。
サビ除去中に貫通した1箇所を処理するための作業で、何をやっても膨れが止まらず、
当初2日間の工程が数日かかり、それでも膨れは止まらず、
結局膨れのある状態での引き渡しになったそうです。
元請けの担当者さんは元より、在宅のご家庭だったのでご家族にも大変な迷惑がかかってしまいます。
そして施工している本人もまた、辛いと思います。
何をしても直せないとなると、完全にお手上げ状態です。

別事例ですが、下記のホーロー浴槽は、
2度の塗装後に、結局新品に入れ替えになった、という、
こちらもあってはならない事態です。

ホーロー浴槽のサビ発生の再生塗装は、本当に奥が深いものです。
直せる、直せないの判断を見誤ると、このように最悪な結果が待ち受ける場合があります。
中途半端では無理、自信がなければ断る勇気が必要です。

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鋳物ホーロー浴槽再生塗装

さてさて、かなり脱線してしまいましたが、今回の現場です。
メールで浴槽の写真を送って下さいと、依頼させていただきましたが、
上手く添付できなかったそうで、わざわざ郵便でお送りいただきました。
個人の方でこんな事は今まで一度もなく、初めての経験です。ちょっぴり感動もんです。
早く行って、直さねば!

この写真からでは、釉薬の欠如でつや消し状態、
そして配管からのサビ発生と変色、程度にしか思えませんが、、、。

Before

壁面には鋳物ホーロー浴槽特有の割れとサビ発生です。
大した事のないように見えますが、これが一筋縄ではいかない厄介な現象なのです。
甘く見るとドツボにハマるやつです。
また、釉薬が完全に剥がれ落ちているため、
見た目以上にホーロー面がボロボロになっていました。
錆びた箇所から刃物を入れるとホーローがバリバリと剥がれてきます。
素地の鋳物と琺瑯が既に密着不良で、
どこまででも剥がれて行きそうな悲惨な状態というやつです。
このような状況に出くわすと、
水の持つ溶解力・破壊力・浸透力にいつもビックリさせられます。

フランジから浴槽内部に向けて30センチほどはピンホールだらけなので、
総パテ処理です。
サビとクラックの処理は、
厚塗り超耐熱耐水特殊パテとライニング工法での施工です。

今回も原状回復工事なので、同系色での再生塗装です。
施工後をご主人に確認してもらいました。
わっ〜、綺麗にできたね。新品みたいに良くなっちゃったなぁ!」と。
触って見てください、と私。
あっ!ほんとだ、すごいね、つるつる。新品より良くなっちゃったね、これじゃ」と、
2度も「新品より」という言葉をいただき、大変喜んでいただきました。

After

ピッカピカのテラテラ状態です。写真で見るよりはるかに綺麗ですよ。
触ると分かりますが、鋳物ホーロー浴槽特有の厚み感も復活しています。

私の現場ではサビ=穴空きが多いホーロー浴槽ですが、
今回は貫通する事なく無事に終了する事ができました。

P.S.
三日間お昼ご飯をご馳走になりました。
海鮮丼と穴子・だし巻き卵、
そして湘南、藤沢市のブランド豚「みやじ豚」のとんかつ & etc.
毎回むちゃくちゃボリユームがあり、お腹いっぱい頂きました。
業者としてお邪魔させていただいたにもかかわらず、
ご好意でこのような温かいお気持ちをいただけるとは、
大変ありがたく、嬉しく、そして申し訳なく思っております。
本当にありがとうございました。

カテゴリー: FRPライニング (クラック・割れ・穴補修), OJT (現場研修), ホーロー浴槽塗装, 浴室リフォーム, 浴槽入換, 溜湯, 補修 | タグ: , , , , , , , , , , , , , | コメントは受け付けていません。