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サビの発生した鋼板ホーロー浴槽の修理&再生塗装 海老名市

ホーロー浴槽のサビ補修

半世紀近く経過した鋼板ホーロー浴槽の修理再生塗装、現場は海老名市です。
神奈川県にはホーロー浴槽での縁があるのでしょうか。
藤沢市では数度、茅ヶ崎市そして今回の海老名市と、
いずれもホーロー浴槽のサビ症状での修理再生塗装施工訪問となりました。

Before

一昔前の戸建て住宅の定番、在来工法の浴室です。
壁面はタイル貼り、洗い場には丸形のモザイクタイル、
そして浴槽は鋼鈑ホーロー、と典型的な日本の浴室ですね。

浴槽手前側のフランジ(縁)の部分がグサグサに腐っていました。
お父様がエポキシパテを打ち込み使用されていたそうですが、
徐々ににサビが酷くなってきたため、今回ご依頼をいただくこととなりました。

しかしながら、当初はやはり塗装で直せることはご存知なく、
お風呂場全体の入れ替えを何度も考えられていたそうです。
リフォーム会社が出す見積もりはどれも200万円越えの金額、
リフォーム内容の選択肢はやはりユニットバスへの変更案のみです。

そんな中、この浴槽を補修することが出来ないものかとネットで調べられ、
塗装で再生できることが分かり、お問い合わせをいただくことができました。

症状は、浴槽手前側の酷いサビ以外では、内部に2箇所の軽度の傷みのみです。

ホーロー浴槽を半世紀ほども使用すると、一般的には溜め湯等で内部の釉薬が剥がれてしまい、
ピンホールなどが大量に発生していてもおかしくありません。
ところがこの浴槽は、艶も残り、ピンホールもありません。
3日間お湯を溜めては抜いての使用を長年繰り返していたとのお話でしたので、
その使用状況と使用年数から考えると、かなり優秀な浴槽と言えそうです。

既存のエポキシパテを取った状態です。
グサグサに鋼鈑が腐り穴だらけになっています。強度も殆どありません。
カナヅチで叩くと内部のサビが崩れていくのがはっきり分かりました。
あまりやると全体が崩れてしまいそうな悲惨な状態でしたね。

今回、何故手前側だけにこの様なサビが発生していたのでしょう。
エプロン上部と浴槽との間に入っていた塩ビ系のジョイナーが、
長年の使用で切れてしまったことが、その大きな要因です。

ジョイナーが切れた事によりエプロン部分が奥側に押されてしまい、
浴槽との間に隙間が大きいところで2cmほどできてしまった。
エプロンの押された部分の長さは約80cmに渡ったため、
奥行き約2cm、幅約80cmの隙間(空洞)ができてしまった。
その隙間から使用する度に水が浴槽内部に入り込み、サビを発生させたという経緯になります。
長年使用された同タイプの鋼鈑ホーロー浴槽では時々見かける現象です。

実は、このような状態の浴槽を直すことは通常はしておりません。
今回も、実は一度施工をお断りさせていただいた現場です。
リフォーム会社じゃありませんがまず浴槽入れ替えをお勧めいたします。
と申しますのは、コーキングなどが切れて裏から水が周り腐ってきたホーロー浴槽のサビを止めることは理論上不可能、と考えるからです。
お客様から代金とお時間をいただき施工させていただくのであれば、
サビの再発があるかもしれない、という状況でお受けする訳にはいかない、
また、今回の現場も遠方ゆえ、施工後に何かあった場合に対応させていただくことも難しい、
そう考えた末の判断です。

しかしながら、
このようにグサグサに腐って穴が沢山空いてしまったホーロー浴槽を直す(延命させる)ことも、
1年に1度あるかないかほどの頻度となりますが、実際にはあります。
それは、このような事実、私の考えをご理解いただいた上で、
どうしても直してほしいとのご要望をいただいた場合に、保証無しでの施工に限り、お受けすることがあります。

新品への入れ替えではなく修理で使えるものなら直して使いたい、
浴室、浴槽に愛着があるから、
後、数年しか住まないから、
高齢の両親のみのためその間だけもってくれればいい、

実際にお聞きしたこのようなお声に応えられずお断りさせていただく際には本当に申し訳なく思っております。

このような経緯で施工させていただいたお客様より今のところ再発のご連絡をいただいた事例は1件もありませんが、
このような事情を何卒ご理解いただき、
ホーロー浴槽の傷みが出た際にはぜひ早めの対応をお願いしたいと思っております。

浴槽カラーは娘様ご希望の薄いスカイブルーに。
ピッカピカのツルツルに甦りお母様も娘様も大変気にいっていただき、
喜んでいただいた表情を拝見し、安堵しました。

After

錆びて腐った穴の中には、強度を確保するため、
大量の特性樹脂パテを打ち込んであり、ガチガチに固めてあります。
ガラスマット等を使用したライニング工法での施工となりました。
これで延命処理完了です。

施工に至るまで娘様より何度もご相談をいただいておりました。
お父様がご自身でいろいろ手を加えられ大切にされてきたお風呂であること、
修理再生塗装をすることにより今までの質感がなくなってしまうのではないか、など
施工による不安もいろいろお聞きしお応えしておりました。

後日、嬉しいメールをいただきました。2回目のメールは施工後約2ヶ月後にいただいたものです。

「お蔭さまで、生まれ変わったお風呂を母も楽しんでおります。
どうもありがとうございます。」

「また、基本の鉄板の質がそう感じさせるのかもしれませんが、ひんやりした質感が前と変わりなく、本当に嬉しいです。兄も(同じく恐々でしたが)違和感なく使っていましたし、お願いして本当に良かったです。
ありがとうございます!」

大変嬉しく安堵いたしました。
ありがとうございました。

カテゴリー: FRPライニング (クラック・割れ・穴補修), カラーコーティング, ホーロー浴槽塗装, 浴槽コーティング, 膨れ, 補修 | タグ: , , , , , , , , , , , , , | コメントは受け付けていません。