数年ぶりにこんな状態の浴槽を再生しました。
この業界に入った10数年前は、塗装の話があればなんでも受けたものでした。
錆びが出ていても、穴が空いていても、施工できる喜びの方が知識と技術を遥かに
超越して施工に走っていたもんでした。
よって、失敗も数々経験しました。
今は、このような浴槽は絶対に引き受ける事はありません!
即刻、入れ替えを勧めます。
再生出来ないものは、ハッキリ伝えなければ後から後悔する事になります。
今年の春にお会いした、リグレーズの研修を受けられたM氏から電話が入り、
私に施工してもらいたい物件があるとの事。
私 「どのような状態ですか?」
M氏 「鋼板ホーローが錆びています。」
私 「どの箇所からですか?」
M氏 「R部分と入隅あたり、それとフランジです。」
私 「恐らく直すのは無理、入れ替えですわ!」
私 「取り敢えず写真送って下さい。」
写真を見ると思った通りでした。
完全に修復不可能物件。
M氏に電話をして、直せない理由を伝え入れ替えを勧めました。
数日後に再度M氏から電話。
M氏 「どうしてもお願いしたいんです!」
私 「なんでですか?直ぐにトラブルよ!」
M氏 「数年後に建て替えるから、それまで何とか持たせたい。」
私 「不可能!絶対にもたん!!!入れ替えです。」
M氏 「そこをなんとか」
などと、やり取りした挙句、
クレームは一切無しの保証無しで施工することに。
30年以上、使用された浴槽です。
ボロボロのザラザラです。
家主が入れられたパテが口を開いている状態でした。
皮スキとハンマーでパテを除去すると、予想通り穴が出現。
それもかなり重症です。
裏から腐ってきた鋼板が薄くなりペラペラです。
皮スキで突っつくと、穴は拡大するばかりで底が抜けそうでした。
サンディングとエッチング後です。
穴の箇所は裏からPlateを当てる事はできないために、
表からパテでSW工法で施工です。
3種類のパテを使いPlateを固定するも、いつまでもつやらです!
浴槽内部は無数のビッグピンホールだらけ、
総パテ3回で何とか止める事に。
今回、パテ作業で丸々2日間も掛かってしまいました。
施工前の腐食した穴達です。
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施工後です。
見た目には新品同様に甦りましたが、
必ずサビは再発します。
M氏に再度、釘を刺し
2度と、この現場に来ることはないので、
タッチアップ用の塗料を渡し、完了となりました。