2週続けての関東出張は初めてのことでした。
前回は東京都港区三田、今回は東京都江戸川区東葛西エリア。
2件とも鋳物ホーロー浴槽の再生塗装ですが、
今回の案件は、通常では完全にお断りさせていただく大変重度の症状です。
補修施工としてお受けできるレベルは完全に超えているため、
延命治療という形での施工となりました。
数ヶ月前にも、三重県四日市でサビが大量発生したホーロー浴槽の修理延命治療をさせていただきましたが、
ここ数年、こういった案件のご用命をいただくケースは増えてきています。
強いご要望をいただいた場合に限りますが、状況をご理解いただき、施工後に起こりうるデメリットをご納得いただいたうえで、
保証対象外案件となる延命治療という形での施工をさせていただいております。
築35年ほど経過した戸建て住宅の鋳物ホーロー浴槽です。
当初提示された見積もりは、新品のユニット浴室への入れ替えで、300万円ほどかかると言われたそうです。
しかし、高齢のご夫婦2人暮らしなので今更新品にするのはもったいない、と考慮され、
お知り合いの方から、浴槽を再生する技術があること、浴槽再生塗装の情報を得られ、
今回施工をさせていただく運びとなりました。
浴槽は全体的に艶消し状態、
釉薬は完全になくなり、ホーロー層には無数のピンホールが発生しています。
鋳物ホーロー浴槽特有の、ナメクジが這った跡のようなひび割れも発生しています。
そして、一番の問題は、重度のサビ症状です。
特に、浴槽底面にくっきりと見える4箇所のサビ部分、
これは最も深刻な症状です。浴槽を支えている足部分からのサビが浴槽内部にまで到達しています。
通常では、直す、再生する、というレベルではありません。
これらの症状を引き起こした大きな要因には、溜め湯 が挙げられます。
洗濯に利用するため、防火用水としての備蓄のためなど、
溜め湯は、日常的におそらく多くの方が何気なくされる行為ですが、
浴槽にとっては、実は負担となってしまいます。
水の力は意外にも強烈なものです。水の持つ溶解力・破壊力そして浸透力により、
強固な鋳物ホーロー浴槽も少しずつダメージを負い、
溜め湯を日常的に長く続けることで、その傷みは広がっていくと考えられています。
白く見える部分は、ホーロー層が完全に剥き出しになっている部分です。
カッターなどを入れるとどこまででもボロボロに崩れていきそうな、ひどい状態でした。
全体的に、あまり見かけることのできないサビの発生状況です。
浴槽再生塗装 施工後です。
ご主人ご希望のスカイブルー(明るい青)での再生となりました。
「おっ〜新品になった!」「ツルツル!ピカピカ!」「入れ替えたみたいやなぁ。」
「こんなに綺麗に直るとは思ってなかった。神の手やなぁ。」
「延命治療ができて本当によかった。助かったわ!」などなど、
ご夫婦そろって満面の笑みで喜んでいただきました。